古民家を改修するとき、「昔ながらの雰囲気は残したい。でも、寒さや段差、建物の強度は改善したい」と悩むことがあります。
今回訪れた古民家を活用した飲食店、東広島市福富町 カントリーグレイン には、そのヒントがたくさんありました。
https://maps.app.goo.gl/crg3BU5wf6LdY1uF7
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太い梁や木の建具を生かしながら、補強や断熱にも目を向けた空間です。
実際に見て印象に残った点を、写真とともに紹介します。
1.「力柱(ちからばしら)」で古い柱を補強
まず目に留まったのは、古い柱に添えるように設けられた新しい木材です。
これは「力柱」と呼ばれる補強の工夫だそうです。
古民家では、柱の根元が湿気や腐朽で傷んだり、既存の柱だけでは強度が心配になったりすることがあります。
そうしたときは、建物の状態に応じた補強が必要です。
写真でも、年月を経た濃い色の柱や梁に対して、新しい明るい木材が加えられているのが分かります。
古いものを残しながら、必要な部分に手を入れる。
古民家改修らしい発想ですね。
ただし、柱を一本添えれば安全になるというものではありません。柱脚や梁との接合、基礎への力の伝わり方、建物全体の耐震性は、専門家による確認が欠かせません。

2.黒を基調にすると、古民家に高級感が生まれる
次に印象的だったのは、黒を基調にした内装です。
太い柱や梁を暗い色でまとめることで、白い壁や木製家具とのコントラストが際立っています。
黒を使いすぎると重たい空間になることもありますが、このお店は窓から自然光が入り、木の照明も温かみを添えていました。
黒い構造材、白い壁、木の家具。
この組み合わせだけでも、落ち着いた上質な雰囲気になります。
古材の色合いを生かせる場合は、すべてを塗り直すのではなく、既存材との調和を考えるとよさそうです。

3.天井に竹を張るだけでも、空間の印象が変わる
天井を見上げると、細い竹がきれいに並んでいました。
豪華な仕上げ材を使わなくても、自然素材の表情を生かすだけで、古民家らしさはぐっと深まります。
とくに太い梁との相性がよく、竹の細かなリズムと、梁の力強い木目がよい対比になっています。
照明を合わせると、竹の陰影も楽しめます。
高価な材料を使うことだけが、よい改修ではありません。
既存の構造材を生かし、素材の使い方を工夫することも大切だと感じました。
ただし、天井は見た目だけでは決められません。屋根の雨漏りや結露、断熱材の納まり、防火上の条件などを確認したうえで仕上げたいところです。

4.コンクリートの基礎と段差の少ない床
この古民家では、基礎部分をコンクリートで整え、床面を外の地面に近い高さにすることで、出入りの段差を少なくしていました。
古民家は玄関や座敷に大きな段差があることも多いので、飲食店として使うなら、入りやすさは重要なポイントです。
小さな子どもから高齢の方まで、気軽に利用しやすくなります。
ただ、床の高さを下げる工事では、雨水の流入や湿気、排水、基礎・構造への影響を慎重に検討する必要があります。
「段差をなくす」と「水が入らない」は、セットで考えたいですね。
5.昔の窓を残しながら、二重窓で寒さ対策
古民家で気になるのは、やはり冬の寒さです。
とくに大きな窓は、景色がよい一方で冷気の影響を受けやすい部分です。
このお店では、窓を二重にする方法を採用していました。
既存の木製建具の見た目を生かしながら、内側にもう一枚窓を設ければ、古民家らしい意匠と断熱性を両立しやすくなります。
一般的な新しいサッシに交換すると、せっかくの雰囲気が変わってしまう場合があります。
ペアガラス自体が悪いわけではありませんが、今回は建具の風情を優先し、交換ではなく二重窓という選択が合っていると感じました。
古民家の良さを残しつつ、快適さも確保する。
これも改修の大切なポイントです。
6.そして、何より大切なのはおいしい食事
最後に忘れてはいけないのが、料理です。
今回いただいたごはんも、とてもおいしかったです。
小鉢が並ぶ盛り付けも楽しく、器の表情まで古民家の空間によく似合っていました。
建物がどれほど美しく改修されていても、飲食店として長く親しまれるためには、やはり料理の満足度が大切です。
「雰囲気がいいから行ってみたい。そして、おいしかったからまた来たい」。
そんなお店が理想ですね。

まとめ|古民家は、古さを消すより魅力を引き出したい
今回の見学で感じたのは、古民家改修は何もかも新しくする工事ではない、ということです。
力柱による補強、黒い柱と梁、竹張りの天井、段差への配慮、既存の建具を生かした二重窓。
それぞれの工夫が、古民家の魅力を残しながら使いやすさを高めていました。
そして飲食店なら、最後はやはり料理。
古民家ならではの空間でおいしいものをいただく時間は、それ自体が大きな魅力になります。
これから古民家を改修する方にとって、少しでも参考になればうれしいです。