徳原測量設計事務所

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皆さん、こんにちは!

お家の周りや道路の脇にある、コンクリートの壁。そう、「擁壁(ようへき)」です。

普段、何気なく目にしているこの擁壁ですが、実は私たちの安全を黙々と守ってくれている、とっても頼りになる存在なんです。

「でも、ただのコンクリートの壁でしょ?」と思いますか?

いえいえ、その擁壁が本当に安全かどうかは、背後にある「土の性格」に大きく左右されるんですよ!

そして、その土の性格を診断する上で、めちゃくちゃ重要なキーワードが、今回ご紹介する「間げき比(かんげきひ)」なんです。

まず「間げき比」って、そもそも何?

「かんげきひ」なんて聞くと、なんだか難しそうですよね。でも、全然そんなことありません!

間げき比とは、簡単に言うと「土の中にある”スキマ”の割合」のこと。

食器洗いのスポンジをイメージしてみてください。スポンジって、たくさんのスキマがありますよね?あのスキマが「間げき」です。

土も同じで、土の粒と粒の間には必ずスキマがあります。

このスキマが多い(=間げき比が大きい)土は「フワフワで緩い土」。

逆にスキマが少ない(=間げき比が小さい)土は「ギュッと詰まった密な土」ということになります。

この「スキマの多さ」が、土の性格をガラッと変えて、擁壁の設計にものすごく影響してくるんです。

では、具体的にどんな影響があるのか、土の性格を4つのタイプに分けて見ていきましょう!

間げき比でわかる!土の4つの性格と擁壁への影響

性格その①「力の強さ」- 満員電車 vs ガラガラ電車

擁壁は、後ろから押してくる土の力(土圧)に耐えなければいけません。この土の力が、間げき比によって変わってきます。

  • ギュッと詰まった土(間げき比が小さい)これは、例えるなら「満員電車」の状態です。人がぎゅうぎゅう詰めで、お互いを支え合っているので、ちょっとやそっとじゃ動きませんよね?土も同じで、粒子同士がガッチリかみ合って、ズレに強く、とても強い力を発揮します。だから、擁壁を押す力も小さくて済むんです。
  • フワフワな土(間げき比が大きい)こちらは「ガラガラの電車」。人がまばらで、簡単に動けてしまいます。土も同じで、粒子のかみ合わせが甘く、崩れやすい弱い状態です。そのため、擁壁をグイグイと強く押してしまいます。

設計では、この土の強さを「満員電車かな?ガラガラ電車かな?」と見極めて、それに耐えられる頑丈な擁壁を考える必要があるんですね。

性格その2「沈みやすさ」- ふわふわパン vs 乾パン

擁壁自身の重さで、地面は少しずつ沈みます。この沈みやすさも、間げき比が関係しています。

  • フワフワな土(間げき比が大きい)これは、まるで「焼きたてのふわふわパン」。指で押すと、簡単にへこみますよね。スキマが多い土は、まさにこの状態で、上に重い擁壁が乗ると、スキマが潰れて大きく沈んでしまう可能性があります。擁壁が傾いたり、ひび割れたりする原因にも…。
  • ギュッと詰まった土(間げき比が小さい)こちらは「カチカチの乾パン」です。手で押したくらいじゃ、びくともしません。スキマが少ない土は、このように圧縮されにくいので、沈む量も小さくて済みます。

擁壁を建てる場所の土が「ふわふわパン」だったら、将来傾かないように、地盤を固めるなどの対策が必要になるわけです。

性格その③「水の通しやすさ」- スポンジ vs 粘土

擁壁にとって、水は大敵!背後に水がたまると、土の力に加えて水の力(水圧)までかかってしまい、とても危険です。

  • ギュッと詰まった土(間げき比が大きい)「粘土」をイメージしてください。スキマが少ないようで実は間げき比がおおきいのです。こういう土だと、擁壁の裏に水がたまりやすくなり、危険な水圧がかかる心配があります。土の中でも粘土が一番厄介です。

性格その4「地震への弱さ」- 砂浜の足踏みマジック?

最後に、一番怖いのが地震のとき。特に砂の地盤では、間げき比が生死を分けることも…。

  • フワフワな砂地盤(間げき比が大きい) 砂浜で遊んでいるとき、波打ち際で濡れた砂の上を足踏みすると、地面がグズグズッと液体みたいになる経験、ありませんか?あれが「液状化」という現象です。 スキマだらけの緩い砂地盤は、地震で揺すられると、まさにあの状態になってしまいます。突然、地面がドロドロの液体のようになり、支える力を失ってしまうのです。そうなると、上に建つ擁壁はひとたまりもなく、転んだり沈んだりしてしまいます。

間げき比を調べて、「この土地は液状化の危険があるな」と分かれば、そうならないための特別な対策を工事で行う必要があるのです。

まとめ:土の”健康診断”が、私たちの安全を守っている!

いかがでしたか?

「間げき比」という一つの指標が、土の「強さ」「沈みやすさ」「水はけ」「地震への弱さ」といった、まったく違う性格を教えてくれるなんて、面白いですよね!

擁壁の設計とは、まさに「土の健康診断」から始まります。間げき比などを調べて土の性格を正確に把握し、「この性格の土なら、こういう設計にしよう」「ちょっと弱点があるから、補強してあげよう」と、安全な擁壁を造り上げていくのです。

今度、擁壁を見かけたら、ぜひその裏側でがんばっている「土」のことを想像してみてください。その土の性格を、エンジニアたちがしっかり診断してくれたおかげで、私たちの暮らしが守られているのかもしれませんね!